準備と相談
相続・デジタル遺品は誰に相談する?弁護士・司法書士・税理士に相談すべきケース
この記事の要点(先に結論)
- 迷ったら「何に困っているか」で選びます。争い・交渉は弁護士、不動産の登記は司法書士、相続税・準確定申告は税理士が基本です。
- デジタル遺品では、負債の可能性(FX・信用取引・暗号資産)、相続税がかかりそうな財産額、相続人間の意見の対立があれば早めの相談が有効です。
- 費用が心配な場合は、法テラスや各専門家団体の相談窓口から始められます。
- 相談前に「財産の所在一覧」「戸籍」「期限」の3点を整理しておくと、相談時間を有効に使えます。
専門家ごとの役割の違い
相続の専門家にはそれぞれ得意分野と、法律で認められた業務の範囲があります。まずは全体像をつかみましょう。
| 専門家 | 主に相談できること | デジタル遺品での例 |
|---|---|---|
| 弁護士 | 相続人間の紛争、遺産分割の交渉・調停・審判、相続放棄の判断、債権者対応など法律問題全般 | 暗号資産の分け方でもめている、故人の借入れや取引の損失が見つかった |
| 司法書士 | 相続登記、相続放棄の申述書など家庭裁判所に提出する書類の作成、遺産承継の手続き支援 | 不動産と一緒にネット銀行・証券の名義変更手続きも整理したい |
| 税理士 | 相続税の申告、準確定申告、財産評価、税務相談 | ネット証券の株式や暗号資産の評価、相続税がかかるかの判定 |
| 行政書士 | 遺産分割協議書など権利義務に関する書類の作成(争いのない場合) | 相続人全員の合意がある前提での書類作成 |
各資格の業務範囲は法律で定められています。たとえば、税金の申告書の作成や税務代理は原則として税理士の業務です。相続人の代理として他の相続人と交渉するなど、争いのある案件の代理は原則として弁護士の業務です。行政書士や司法書士に依頼する場合も、対応できる範囲を最初に確認してください。
専門家に相談すべきケース
弁護士に相談したいケース
- 相続人同士で遺産の分け方や、故人の端末・データの扱いについて意見が対立している
- 故人に借入れ、未払い、FX・信用取引・暗号資産のレバレッジ取引の損失がありそうで、相続放棄を検討している
- 遺言書の内容や有効性に疑問がある
- 故人のアカウントや端末を誰かが勝手に操作した疑いがある
司法書士に相談したいケース
- 不動産があり、相続登記(2024年4月から義務化)が必要
- 相続放棄の申述書の作成を手伝ってほしい
- 戸籍の収集や金融機関ごとの相続手続きをまとめて整理したい
税理士に相談したいケース
- 遺産の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えそう
- 暗号資産、外国株、非上場株式など評価が難しい資産がある
- 故人に事業収入・不動産収入・株式の売却益があり、準確定申告が必要そう
デジタル遺品は「見えない財産」が多い分野です。ネット証券や暗号資産は郵便物が少なく、後から見つかると遺産分割のやり直しや修正申告が必要になることがあります。相談の前に、できる範囲で所在を洗い出しておきましょう。
相談先を探す方法
- 費用が心配なら法テラス:法テラス(日本司法支援センター)は、法制度や相談窓口を案内する公的な窓口です。収入・資産が一定以下などの条件を満たすと、弁護士・司法書士による無料法律相談や費用の立替制度を利用できる場合があります。
- 弁護士会の法律相談センター:各地の弁護士会が法律相談センターを運営しています。日本弁護士連合会のサイトから探せます。
- 司法書士会の相談窓口:日本司法書士会連合会のサイトに、各地の司法書士総合相談センターや相続登記の相談窓口の案内があります。
- 税理士会の相談:日本税理士会連合会のサイトで、税理士の検索や税理士会の相談会の案内を確認できます。
- 公的機関の窓口:相続登記の手続き案内は法務局、相続税の一般的な質問は税務署の電話相談などでも受け付けています。
相談料や対応範囲は窓口によって異なります。予約時に、費用の目安と相談時間、デジタル資産の相談に対応できるかを確認しておくと安心です。
相談前に準備しておくもの
専門家への相談は時間が限られていることが多いため、次の3点を整理しておくと話が早く進みます。
- 財産と負債の一覧:銀行・証券・暗号資産・保険・不動産・借入れなどを、サービス名・見つけた根拠・おおよその金額で一覧にします。分からない部分は「不明」と書いて構いません。
- 家族関係が分かる資料:故人の戸籍、相続人の一覧。法務局の法定相続情報一覧図の写しがあれば便利です。
- 期限と経過:死亡日、死亡を知った日、すでに行った手続き(解約・引き出しなど)を時系列でメモします。相続放棄の判断に関わるため、何をしたかは正確に伝えましょう。
財産の一覧づくりには、ONEQ のようなパソコンの中だけで動くツールも選択肢になります(技術検証版・配布準備中)。ONEQ はデータを外部に送信せず、パスワード突破やロック解除も行いません。見つかった所在を根拠付きで記録し、専門家との相談や各社の正規手続きにつなげることを目的としています。
パスワード解除を約束する業者に注意。「どんなロックでも解除します」とうたうサービスは、データ消失や、故人のアカウントへの不正なログインにつながるおそれがあります。アカウントの手続きは、各社が用意している遺族向けの正規窓口を利用しましょう。
よくある質問
まず誰に相談すればいいか分かりません。
争いがあれば弁護士、不動産があれば司法書士、相続税がかかりそうなら税理士が目安です。どれにも当てはまらない、または判断できない場合は、法テラスで相談窓口の案内を受けるのも一つの方法です。
相続放棄を考えています。専門家に頼むべきですか?
相続放棄は自分で家庭裁判所に申述することもできますが、原則3か月の期限があり、財産を処分すると放棄できなくなるおそれもあります。負債の状況が分からない場合や、すでに一部の手続きをしてしまった場合は、早めに弁護士や司法書士に相談すると安心です。
デジタル遺品に詳しい専門家はどう探せばいいですか?
相談予約の際に、ネット銀行・ネット証券・暗号資産など具体的な資産の種類を伝え、対応経験があるかを確認するのが確実です。財産の一覧を事前に用意しておくと、対応可否の判断も早くなります。
専門家に端末やパスワードを渡しても大丈夫ですか?
必要な範囲を確認し、受け渡しの記録を残しましょう。端末そのものやパスワードを渡さなくても、所在の一覧と各社の相続窓口の情報で進められる手続きも多くあります。
参考にした公式情報
最終確認日:2026年10月27日
各社の手続き・必要書類・法令の運用は変更されることがあります。実際に手続きをする前に、必ずリンク先の公式ページで最新の内容をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の法律・税務の助言ではありません。