お金・資産
亡くなった家族のネット証券口座の探し方と相続手続き
この記事の要点(先に結論)
- 上場株式を持っていた可能性があるなら、証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報の開示請求」で、口座のある証券会社・信託銀行等の一覧を取り寄せられます(郵送のみ)。
- 相続人による請求の費用は、2026年10月1日消印分から1件7,700円(税込)、法定相続情報一覧図の写しを使う場合は6,050円(税込)です。該当がなくても費用はかかります。
- 株式や投資信託は原則として現金化して受け取るのではなく、相続人名義の口座へ移管します。同じ証券会社に相続人の口座が必要になるのが一般的です。
- NISA口座はそのまま引き継げません。相続人は「非課税口座開設者死亡届出書」を提出し、商品は課税口座へ払い出されます。
まず「どこに口座があるか」を調べる
ネット証券は郵便物が少なく、家族が口座の存在を知らないことがよくあります。とはいえ、証券口座の相続でも、IDやパスワードは必要ありません。必要なのはどの証券会社に口座があるかという情報です。次の順で探すと効率的です。
家の中・パソコンの中の手がかり
- メール:「約定」「取引報告書」「配当金」「分配金」「NISA」などの語で検索します。
- 郵便物:年に一度届く特定口座年間取引報告書、株主総会の招集通知、配当金計算書などは、口座や保有銘柄の重要な手がかりです。
- 確定申告書の控え:株式の譲渡所得や配当所得の申告があれば、証券会社名が書かれていることがあります。
- 銀行口座の明細:証券会社への入金(振込)や、証券会社からの出金が記録されていないか確認します。
- スマホ・パソコン:証券会社のアプリ、ブックマーク、ダウンロードした取引報告書のPDFなど。
ONEQ は、パソコンの中にあるこうした痕跡を、端末の中だけで解析して「どの会社に口座がありそうか」を根拠付きで一覧にするアプリです(技術検証版・配布準備中)。データを外部に送らず、ログインの代行やパスワードの突破は行いません。見つけた会社には、公式の相続窓口から連絡します。
確実に調べるなら「ほふり」への開示請求
国内の上場株式などは、証券保管振替機構(通称「ほふり」)の振替制度で管理されています。相続人は、ほふりに登録済加入者情報の開示請求をすることで、故人が口座を開設していた証券会社・信託銀行等の名称を知ることができます。
| 項目 | 内容(ほふりの公式案内による) |
|---|---|
| 分かること | 開示時点で口座が開設されている証券会社・信託銀行等の名称など |
| 分からないこと | 銘柄、保有残高、取引履歴。非上場株式・外国株式・国債・社債だけを扱う口座の情報 |
| 請求方法 | 郵送のみ(窓口・電話での受付はなし)。故人の口座を調べる場合はほふりへ直接請求 |
| 費用(税込) | 相続人:7,700円/法定相続情報一覧図の写しを利用:6,050円(2026年10月1日以降の消印分)。同じ株主で調査対象住所が2件目以降は1件1,100円を加算。該当がなくても費用がかかり、結果受取時に代金引換で支払い |
| 期間の目安 | 書類に不備がなければ受付から約2か月。混み合うとさらにかかる場合あり |
必要書類は請求者の立場によって異なります。提出書類はすべてのページをコピーし、一部だけの提出は不備になる点に注意してください。最新の様式と必要書類は、必ずほふりの公式ページで確認しましょう。
住所が複数ある場合:故人が引っ越しをしていた場合、証券会社に届けていた住所が古いままのことがあります。過去の住所も調査対象に加えると見落としを減らせます(2件目以降は追加費用がかかります)。
証券口座を相続する手順
- 証券会社の相続窓口に連絡する:公式サイトの「相続手続き」ページから連絡方法を確認します。連絡後、口座は原則として取引できなくなります。
- 残高証明書を請求する:死亡日時点の評価額が分かる残高証明書は、遺産分割や相続税の申告に使います。
- 相続人の口座を用意する:株式や投資信託は、相続人名義の口座へ移す(移管する)のが基本です。多くの場合、同じ証券会社に相続人名義の口座が必要になります。
- 必要書類を提出する:戸籍謄本等(または法定相続情報一覧図の写し)、遺産分割協議書や遺言書、相続人の印鑑証明書、証券会社所定の依頼書など。
- 移管・売却・換金を決める:移管後に相続人が保有を続けるか売却するかを判断します。
特定口座の扱い
故人の特定口座から相続人の特定口座へ移管すると、取得価額などの情報も引き継がれるのが一般的です。売却したときの税金の計算に関わるため、移管先の口座区分は証券会社の案内に従って選びましょう。
単元未満株・投資信託・特別口座
- 単元未満株:取扱いは証券会社や発行会社によって異なります。相続人の口座へ移管できるか、買取請求で現金化するかを窓口で確認します。
- 投資信託:相続人の口座へ移管するか、解約して換金するかを選べるのが一般的です。商品によって手続きが異なります。
- 特別口座:証券会社の口座ではなく、発行会社が指定した信託銀行等の「特別口座」に株式が記録されていることがあります。ほふりの開示結果や、発行会社から届く郵便物で確認します。
NISA口座はそのまま引き継げない
国税庁のQ&Aによると、NISA口座を開設していた人が亡くなったときは、相続人が死亡を知った日以後遅滞なく、NISA口座があるすべての金融機関に「非課税口座開設者死亡届出書」を提出しなければなりません。NISA口座の上場株式等はNISA口座から払い出されます。
相続人が自分のNISA口座にそのまま移すことはできず、相続人の課税口座(特定口座や一般口座)で受け取ることになります。取得価額の扱いなど税務上の細かな点は、証券会社や税務署、税理士に確認してください。
期限とお金の注意点
- 相続税の申告が必要な場合、期限は原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内です。株式の評価には時間がかかるため、早めに残高証明書を取りましょう。
- 相続放棄を検討しているなら、株式を売却して代金を使う行為は相続の承認とみなされるおそれがあります。判断の前に専門家へ相談してください。
- 相場が大きく動いても、移管手続き中は売買できない期間があります。売却のタイミングは手続き完了後になると考えておきましょう。
よくある質問
ほふりの開示請求は誰でもできますか?
故人の口座を調べられるのは、法定相続人や遺言執行者など所定の立場の人です。必要書類は立場によって異なるため、ほふりの公式ページで確認してから郵送します。
開示請求でいくら持っていたかまで分かりますか?
分かりません。分かるのは口座がある証券会社・信託銀行等の名称などです。銘柄や残高は、判明した各社に相続人として残高証明書を請求して確認します。
故人のNISA口座の株式は相続人のNISA口座に移せますか?
移せません。相続人は非課税口座開設者死亡届出書を提出し、株式等はNISA口座から払い出されて相続人の課税口座で受け取ります。
相続人が同じ証券会社に口座を持っていないとどうなりますか?
多くの場合、相続人名義の口座を新たに開設してから移管します。証券会社によっては換金して払い出す方法を選べることもあるため、相続窓口で確認してください。
参考にした公式情報
- 証券保管振替機構「登録済加入者情報の開示請求」
- 証券保管振替機構「相続人等が直接請求する場合」
- 国税庁「新NISAに関するQ&A」(PDF)
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト
- 法務局「法定相続情報証明制度について」
最終確認日:2026年10月27日
各社の手続き・必要書類・法令の運用は変更されることがあります。実際に手続きをする前に、必ずリンク先の公式ページで最新の内容をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の法律・税務の助言ではありません。